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UNICEF:ユニセフ報告書「レポートカード17」発表(2022年5月25日)

UNICEF:ユニセフ報告書「レポートカード17」発表
~先進国の子どもの環境と幸福度~

(公財)日本ユニセフ協会(東京都港区)は、5月24日付で、以下の内容をプレスリリースしましたので紹介します。

ユニセフ(国連児童基金)・イノチェンティ研究所(イタリア:フィレンツェ)が、同日付で、先進国の子どもの状況を比較分析する報告書シリーズ「レポートカード」の最新版を発表。報告書は、裕福な国の多くは、世界の子どもたちにとって不健康で危険、かつ有害な環境を作り出していると指摘しています。

表紙「レポートカード17:場所と空間-環境と子どもの幸福度
(原題:Places and Spaces: Environments and children's well-being)」

● 環境と子どもの幸福度:上位は欧州勢、日本の総合順位は13位

「レポートカード17:場所と空間-環境と子どもの幸福度(原題:Places and Spaces: Environments and children's well-being)」は、経済協力開発機構(OECD)または欧州連合(EU)に加盟する39カ国が、子どもにとって健全な環境をどれだけ提供しているかを比較したものです。

今回のレポートカードが示すランキングの総合順位で上位を占めるのは、スペイン、アイルランド、ポルトガルの3カ国ですが、これらの国を含め、OECD・EU諸国は、すべての指標においてすべての子どもに健全な環境を提供できているわけではありません。オーストラリア、ベルギー、カナダ、米国など最も裕福な国々の一部は、CO2排出量、電子廃棄物、一人当たりの資源消費量などから見て、地球環境に深刻かつ広範な影響を与えており、また、自国の子どもに健全な環境を整えることについてもよい順位ではありません。一方、OECD・EU諸国のうち、ラテンアメリカや欧州の比較的裕福ではない国々が国外に与える影響は、はるかに小さくなっていますこの報告書の中での日本の総合順位は13位です。

●ユニセフ・イノチェンティ研究所のグニラ・オルソン所長の日本への期待

「日本の子どもたちの環境は、他の裕福な国々と比べて比較的よい方ですが、レポートカード17の結果は、他のすべての国々と同じように、日本の子どもたちに最善の環境を提供するためには、仕組み、サービスや政策にまだ改善の余地があることを示しています。現在、日本の国会でこども家庭庁やこども基本法についての議論されていることを大変喜ばしく思っています。これは、意思決定において、子どもの幸福度に着目し、子どもや若者の声を反映させることを求めるすべての政府にとってのよい事例です」と述べています。

●その他の懸念事項
  • 調査対象国で2,000万人以上の子どもが、血液中の鉛濃度が高い。鉛は最も危険な環境有害物質の一つ。
  • フィンランド、アイスランド、ノルウェーは、自国の子どもに対する健全な環境の整備においては上位3分の1に入っているが、国外への影響に関する、CO2排出量、電子廃棄物、消費レベルに基づく順位では下位3分の1に入る。
  • アイスランド、ラトビア、ポルトガル、イギリスでは、5人に1人の子どもが過度の湿気やカビのある住環境で生活していて、キプロス、ハンガリー、トルコではその割合が4人に1人を上回る。
  • 多くの子どもたちが、屋外、屋内の両方で、有毒な空気を吸っている。大気汚染によって失われる健康寿命は、メキシコでは子ども1,000人あたり7年と最長であり、フィンランドと日本が0.2年と最短となっている。
●ユニセフの提言

ユニセフは、子どもたちの環境を守り、改善するために、5つの取り組みを呼びかけています。

1.政府や州・地方自治体は、廃棄物、大気・水質汚染を削減し、質の高い住宅や周辺環境を整備すること。

2.もっとも弱い立場にいる子どもたちの環境を改善すること。

3.環境政策を、子どもに配慮したものとなるようにすること。

4.将来の主たる当事者である子どもたちに関与してもらうこと。

5.政府と企業は、2050年までに温室効果ガスの排出を削減するという公約を守るため、即座に効果的な行動を起こすべきである。

●グニラ・オルソン所長の指摘

グニラ・オルソン所長は、「子どもたちが健やかに成長できる、よりよい場所や空間を創ることは、私たち自身と未来の世代に対する義務です。廃棄物の増加、有害な汚染物質、天然資源の枯渇は、子どもたちの心身の健康を損ない、地球の持続可能性を脅かしています。私たちは、子どもや若者が最も大きく依存している、自然環境を保護していくための政策や取り組みを追求しなければなりません」と指摘しています。

(※情報の出典は、公財日本ユニセフ協会HPより)

<お問合せ先>

(公財)日本ユニセフ協会 0120-88-1052(平日10時~17時)

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