ユニセフ・ILO「児童労働、子ども1億3,800万人」と報告 (2025年6月12日)
ユニセフ・ILO:児童労働、子ども1億3,800万人
改善傾向もSDGs目標は不達-ユニセフら新報告書
~6月12日は「児童労働反対世界デー」~
©日本ユニセフ協会
「児童労働:2024年の世界推計、傾向と今後の課題(原題:Child Labour: Global estimates 2024, trends and the road forward)」(英語版)
ユニセフ(国連児童基金)と国際労働機関(ILO)が本日発表した新たな推定値によると、2024年には約1億3,800万人の子どもが児童労働に従事しており、そのうち健康や安全、または発達を阻害する可能性のある有害な労働に従事している子どもは約5,400万人に上ります。
●6月12日は「児童労働反対世界デー」
最新のデータによると、2016年から2020年にかけて驚くほど急増した児童労働は、2020年以降、2,000万人以上減少し、状況は一転しました。しかしながら、こういった進展にもかかわらず、2025年までにあらゆる形態の児童労働を撲滅するというSDGs目標8.7は達成されない見込みです。
「児童労働反対世界デー(6月12日)」の前日に当たり、かつ「国際遊びの日(6月11日)」当日に発表した本報告書「児童労働:2024年の世界推計、傾向と今後の課題(原題:Child Labour: Global estimates 2024, trends and the road forward)」は、児童労働の撲滅に向けて進展が見られる一方で、何百万人もの子どもの学ぶ権利や遊ぶ権利、そして単に子どもであることを否定されているという厳しい現実を浮き彫りにしています。
報告書のデータによると、児童労働が最も多い産業は依然として農業部門で、全体の61%を占めています。続くサービス部門(27%)には、家事労働や市場での物販などが含まれます。工業部門(13%)には鉱業や製造業が含まれます。81人に、すぐに食べられる補完食(RUCF)を提供しました。
●子どもたちが教室や遊び場で過ごせるように
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは次のように述べています。
「世界は、労働を強いられる子どもの数を減らす上で、大きな進歩を遂げてきました。しかし、それでもなお、あまりにも多くの子どもが、生きていくために、鉱山や工場、農場などで危険な労働に従事しています。法的保護措置の適用、社会的保護の拡大、質の高い無償教育への投資、成人のディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)へのアクセス改善によって、児童労働は撲滅できる、と私たちは知っています。しかし、世界的な資金削減により、これまで苦労して積み上げてきた成果が後退するおそれがあります。私たちは、子どもたちが仕事場ではなく、教室や遊び場で過ごすことができるよう、あらためて取り組みを強化しなければなりません」(中略)
●進展を加速させるために、ユニセフとILOは各国政府に対し、以下のことを呼び掛けています。
- 普遍的児童手当のような社会的セーフティネットを含め、脆弱な立場にある世帯に対する社会的保 護に資金投入し、家族が子どもの労働に家計を頼らなくても済むようにすること。
- 危険にさらされている子どもたち、特に最悪な形態の児童労働に直面している子どもを特定し、それを防止し、支援するために、子どもの保護制度を強化すること。
- 特に農村地域や危機的状況にある地域で、質の高い教育を普遍的に受けられるようにすることで、すべての子どもが学べるようにすること。
- 労働者が団結し自らの利益を守る権利を含め、若者とおとなのディーセントワークを担保すること。
- サプライチェーン全体を通して、搾取をなくし子どもを保護するために、法令順守と企業の説明責任を強化すること。
(データ・写真の出典:日本ユニセフ協会ホームページ)
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