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ユニセフ事務局次長「ガザの人道的崩壊について声明」を発表(2024年1月22日)

ユニセフ事務局次長「ガザ訪問を終え「声明」を発表
~「ガザの人道的状況は崩壊寸前」~

©UNICEF/UNI504813/Ingram

ユニセフ事務局次長「ガザの人道的状況は崩壊寸前」との声明を発表

 ユニセフ(国連児童基金)のテッド・チャイバン事務局次長は3日間のガザ地区訪問を終え、現地の状況について以下の声明を発表しました。

●壊滅状態から崩壊寸前へと状態悪化

 私は3日間のガザ地区訪問を終えたところです。滞在中、緊急対応について地元の団体や各国際機関と調整し、2カ月前の訪問以降の人道支援活動の状況を把握することができました。しかし何よりも、私がこれまでに見たこともないような恐ろしい状況にあえいでいる子どもやその家族と対面することができました。

 前回の訪問以来、状況は壊滅状態から崩壊寸前へと悪化しています。ユニセフは、ガザ地区を、「子どもにとって世界で最も危険な場所」と表現しました。私たちは、「これは子どもに対する戦争だ」と言ってきました。しかし、こうした真実は伝わっていないようです。敵対行為の激化以来、ガザ地区で犠牲となったとされている約2万5,000人のうち、女性と子どもが最大で70%を占めていると報告されています。子どもが犠牲になることは直ちに止めなければなりません。

 火曜日に、私はハンユニスのアル・ナセル病院で、サマという11歳の女の子に会いました。彼女と友だちは縄跳びをして遊んでいた時に、砲弾の破片に当たりました。破片は腹部を貫通し、サマは脾臓を摘出する手術を余儀なくされました。病気や感染源だらけの交戦地帯で免疫不全に陥った彼女は、周囲から隔離されながら病院でひとり、療養中です。そして私たちがアル・ナセル病院から出発した数時間後に、戦闘が迫り、多くの家族が病院を出て避難した、と聞きました。

●190万人以上、避難生活強いられる

 ガザの人口のほぼ85%に当たる190万人以上が避難生活を余儀なくされており、中には何度も退避させられている人もいます。そのうちの100万人以上がラファに逃げ込み、その結果、にわか作りの避難所や避難場所が乱立し、小さな町はほぼその姿をとどめていません。

 国境付近にどれほど多くの民間人がいるのか把握は難しく、また彼らの生活環境は非人道的です。水は不足し、劣悪な衛生環境は避けようがありません。今週の寒さと雨で、汚水の川ができました。手に入るわずかな食料では、子どもたち特有の栄養ニーズを満たせません。その結果、何千人もの子どもが栄養不良や病気に陥っています。

 これは、まさにガザの子どもたちを取り巻く環境が驚異的に悪化していることを示しています。このまま状況の悪化が続けば、無差別の戦闘による死者に輪を掛けて、病気や飢餓による死者が増える事態となります。大きな転換が必要です。

●支援物資を届けるために

 第一に、何千人もの命を奪うだけでなく、生存者に支援物資を届ける妨げにもなっている激しい爆撃を止めることです。より多くのトラックを、より多くの検問所を通じて、はるかに効率的な検査手続きでガザ地区に入れなければなりません。戦闘前は、毎日500台以上のトラックが入っていました。11月に私がガザ地区にいた時には、支援物資を積んだトラックが1日に約60台入っていました。今では、1日平均30台の市販用物資を積んだトラックと並んで、1日130台ほどです。増えた背景は2つ目の検問所の利用が再開されたことによるものですが、それでも全く足りません。私たちは、干上がった大海にストローで滴を落とすような支援しかできていないのです。

●北部へのアクセス必要

 最後に、北部へのアクセスが必要です。ガザ北部に暮らす推定25万人から30万人の人々は、きれいな水を手に入れることができず、食料もほとんどありません。1月に入ってからの2週間で、ガザ北部の目的地に支援物資が無事に到達したのは、計画された29件のうちわずか7件でした。ユニセフの輸送車両隊は、2024年に入ってからは一度もガザ地区北部に到達できていません。

 アクセスさえあれば、その場所で変化をもたらすことができます。私は、ユニセフが支援しているハンユニスの2つの淡水化プラントのうちの1つ、約25万人に水を供給しているプラントを訪れました。私たちが運んだ冬服を着ている子どもや、届いた衛生キットの石けんや衛生用品を使っている家族がいました。

 子どもやその家族が毎日亡くなったり負傷したりする事態を終わらせ、切実に必要とされている支援を速やかに届け、ガザで人質となっているイスラエルの子ども2人を安全かつ無条件に解放するための人道的停戦を、これ以上待つことはできません。こんなことが続いていてはならないのです。

●ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」 ご協力のお願い

 (公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」を受付しています。最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。

ガザ人道危機 緊急募金

募金するクレジットカード/ネットバンク/Amazon Pay

携帯キャリア決済/コンビニ払い

全国の郵便局(ゆうちょ銀行)窓口からのお振込みも可能です。

 振替口座:00190-5-31000 口座名義:公益財団法人 日本ユニセフ協会

 *通信欄に「ガザ」と『K1-030 岩手県ユニセフ協会』と明記ください。

 *窓口でのお振込は、送金手数料が免除されます。

(※写真・情報の出典は、公財:日本ユニセフ協会HPより)

<お問合せ先>

(公財)日本ユニセフ協会:0120-88-1052(平日10時~17時)

岩手県ユニセフ協会  電話:019-687-4460(月~木 10時~15時)

(公財:日本ユニセフ協会協定地域組織)

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